衣類でできる『静電気対策』をご紹介します。
冬は空気が乾燥します。空気が乾燥すると困る事の一つに「静電気」があります。以前静電気について学ぶ機会がありましたので、今回は衣類に関することを書いてみたいと思います。既にご存知の内容かもしれませんが、少しでもご参考になれば幸いです。
■ 静電気とは?
まず静電気とはなにか、というところからお話を進めたいと思います。静電気とは、物質内にたまった電気のことです。人間の体や衣類を含め、どんな物質も「プラス」と「マイナス」の電気を持っていて、通常は「プラス」と「マイナス」の電気量が釣り合った状態です。
しかし、接触・摩擦などが原因で、それぞれの電気量のバランスが崩れ一方は「プラス」、もう一方は「マイナス」の電気を帯びることがあります。これを「帯電」といいます。
(参考)帯電のイメージとして、一つイラストをご紹介します。私は子供の頃よくやっていたのですが、下敷きを髪の毛に擦りつけて髪の毛を立たせたことはございませんか?
下敷きを髪の毛に擦りつけることによって、下敷きが「マイナス」の静電気を帯び、髪の毛が「プラス」の静電気を帯びます。その結果、髪の毛が逆立ちます。
帯電している衣類から静電気が「放電」されることによって、時に痛みを伴う「パチパチ」という現象が起こります。静電気の発生しやすい条件は、湿度20%以下、気温25度以下といわれています。
通常は空気中の水分を通して自然と放電されますので、気温が高く湿気の強い夏は静電気が起きにくいです。その反対に気温・湿度ともに低くなる晩秋から春先は特に注意が必要な時期です。
■「帯電列」から見るコーディネート
素材の帯電性質を表した「帯電列」というものを参考にしながら、コーディネート例を考えてみます。
(素材の並び順は絶対的なものではなく、調査条件によって変わるそうで多くの帯電列が存在します。今回は、比較的ポピュラーな帯電列を参考に話を進めます。)
●静電気が起きやすい組み合わせ
まずは注意が必要な組み合わせを2つご紹介します。
先ほどご覧いただきました帯電列からもわかるように、ポリエステルは「マイナス」側に、ナイロン・ウールは「プラス」側に帯電しやすい性質がありますので、これらを重ね着すると、静電気が発生しやすくなります。
●静電気が起きにくい組み合わせ
一方、発生しにくい組み合わせはこちらです。
綿は、絹・麻と同様に帯電しにくい素材です。異なる素材同士を重ね着しても、綿を取り入れれば静電気は発生しにくくなります。またウールのように、帯電しやすい素材でも同じ素材同士の組み合わせであれば静電気は発生しにくくなります。
上の写真のモデルさんは、表地がポリエステルの『T/C裏綿二重織作務衣』とウール100%の『ウール差し込みマフラー絣』を身につけています。
先ほどの話に基づくとポリエステルとウールは気を付けたい組み合わせなのですが、実は作務衣の下着として『綿100%の作務衣下着』を身に着けているので、帯電しにくくなります。
【作務衣下着に関する記事はこちら】
また、こちらの『T/C裏綿二重織作務衣』はその名の通り、裏地が綿素材であるため、静電気が発生しにくいと考えることができます。
当店にはポリエステルを使用した作務衣が多数ございますが、ご着用の際に綿素材の肌着や作務衣下着をお召しになられると、静電気の心配が緩和される可能性がございます。お部屋の加湿・お肌の保湿等の対策とともに是非お試しください。
静電気の観点からみると「ポリエステルは良くない」と思われてしまうかもしれませんが、
・洗濯に強い
・水に濡れても乾きやすい
・しわになりにくい
・風を通しにくい
・保管が楽(虫に食われない)
という数多くの利点を持った万能素材でもあります。
天然繊維と化学繊維を上手く生活の中に取り入れていくことで、快適な冬を過ごすことができるかもしれませんね。ポリエステル×綿の組み合わせを是非一度お試しくださいませ。