刺子織(さしこおり)
ここのところ急に寒くなってきましたので、自宅で「太刺子作務衣」を着ることが増えました。どっ […]
和粋庵では、着用する用途や季節に応じて、様々な生地を使った作務衣を製造・販売しています。同じ作務衣でも扱う生地によって必要な工程や技術は大きく異なるため、すべての商品を自社工場にて、試作を重ねながらこだわって作り上げています。
当社の製品はすべて日本国内メーカーの生地を使用しており、時には生地メーカーと協力して当社オリジナルの生地を作っていただくこともあります。我々ほど多くの国産生地を使い、様々な種類の作務衣を手掛けているブランドは他にないと自負しています。
今回の記事では、当社が使用している生地の種類とそれぞれの特性をご紹介します。当社が生地にこだわる理由や、作務衣の品質にかける思いを知っていただけたら嬉しいです。
昔から作務衣に使われてきた綿素材は、最もスタンダードな生地と言えます。当社では夏用の薄手な生地から冬用の厚手なものまで、様々な種類の100%コットン生地を扱っています。
綿の魅力は、何と言ってもその着心地。天然素材ゆえの優しい肌触りで、普段着としてはもちろん、寝間着としても快適に着ていただけます。また生地によっては、布地を織る際にあえて異なる色の糸を組み合わせるような工夫も凝らしています。こうすることで、生地にさらなる色の深みや飽きのこないディテールが生まれます。初めて作務衣を購入される方や、贈り物として着心地の良い一着をお探しの方は、ぜひコットン製の作務衣を試してみてください。
特におすすめしたい綿作務衣は「たてスラブ作務衣」です。
綿素材の生地の中でも、刺子織は特徴的な生地です。「刺子」とは日本の伝統手芸の一つで、元々は豊作・魔よけなどの願いをこめた模様を生地に縫い付け、衣服の補強や保温性向上を行ったことが始まりだとされています。
その制作工程を機械化することで誕生した「刺子織」の生地は、ドビー織機を使用して均一に並んだドット柄を織り込んだものが一般的で、その丈夫さから柔道・剣道などの武道着にも使われています。
平織りにはない表面の細かな陰影や、シワになりにくくコシのある肌触り、無骨さもありながら洗練された質感。そんな魅力の詰まった刺子織を、当社では秋冬向けの作務衣に使用しています。ぜひお手に取ってみてください。
特におすすめしたい刺子織作務衣は「小柄ドビー作務衣」です。
日本語の「麻(Asa)」とは、リネン(亜麻)、ヘンプ(大麻)、ラミー(苧麻)など、主に植物の茎の靭皮から得られる植物繊維(セルロース系繊維)で作られた生地の総称です。三種それぞれ原料となる植物は異なりますが、通気性の高さや乾きやすさ、軽さなど、生地としての特性はかなり近しいものになっています。
麻は昔から作務衣・甚平の生地として良く使われており、その涼しさやシャリ感を活かして特に夏用の和装に活かされています。和粋庵の生地ラインナップの中でも、麻の生地はもっとも涼しい素材と言えます。また当社が扱う生地は、麻特有の硬さやがさつきを可能な限り抑えた、なめらかな肌触りが特徴的です。真夏の暑さをしのげるくつろぎ着をお探しの方は、ぜひ当社の麻製作務衣をご覧ください。
特におすすめしたい麻作務衣は「近江ちぢみ本麻作務衣」です。
当社では、ポリエステル100%や綿とポリを混紡したテトロンコットン(T/C)、ナイロン生地の製品も手掛けています。これらの生地の一番大きな特徴は、その機能性です。汚れにくく、洗った際も乾きやすくシワになりにくい素材であるため、日々の作業や業務で着用する方にはうってつけの素材です。
これらの利便性と、天然素材に劣らないレベルの肌触りを実現するため、様々な製造工程を経たこだわりの生地を使用しています。例えばスタッフの制服として作務衣を取り入れている日本の旅館や宿泊施設では、清潔に保つため頻繁に洗えて、シワになりにくくお客様の前に出ても品が良いという理由から、ポリエステル製の作務衣が非常に人気です。作業着として作務衣をお求めの方や、お手入れが簡単で劣化しにくい素材をお探しの方には綿とポリエステルの混紡や化繊100%生地の商品がおすすめです。
特におすすめしたい化繊作務衣は「ストレッチツイル作務衣[聖]」です。
ファッション性の高さや、少し現代的な要素のある作務衣がお好みの方には、デニム製の商品がおすすめです。ワークウェアとして生まれ、やがてファッションアイテムや普段着として広く普及したデニムのルーツは、和装の中での作務衣の立ち位置と通ずるものがあります。
当社は日本国内でトップシェアを誇るデニム生地メーカー「カイハラ株式会社」とコラボレーションし、その高品質な生地を使用した作務衣を数多く製造しています。これらの商品は硬さやゴワつきが一切なく、想像を超える着心地の良さを実感していただけます。そのことから、当社のデニム作務衣を館内着として採用している旅館やホテルもございます。デニム生地特有の色落ちや経年変化も楽しめる、一味違った新しい作務衣をぜひお手に取ってみてください。
特におすすめしたいデニム作務衣は「カイハラデニム ピマ綿作務衣」です。
伝統的な草木染めの作務衣は、和粋庵の商品ラインナップの中でも特に日本の文化やものづくりの精神を感じられる逸品です。柿渋やくちなしなど、自然由来の素材で染められた生地は、ナチュラルで落ち着きのある色味が特徴的です。
特に人気なのは、濃紺が美しい藍染めの作務衣。藍色は勝利や縁起の良さを象徴する色として古くから日本で親しまれており、外国で「ジャパン・ブルー」とまで呼ばれた歴史があります。今でも日本人にとって、藍色は特別な色と言っていいでしょう。また草木染の製品は、時とともに色の変化を楽しむことができます。丁寧にお手入れをして長く着続けることで、自分だけのビンテージ感を出していく。そんな特別な一着を探してみてください。
特におすすめしたい草木染作務衣は「武州正藍染作務衣」です。
昔から、着物の素材といえばシルクが主でしたが、シルク生地は繊細でお手入れも慎重に行う必要があるため、作業着として生まれた作務衣をシルクで作ることは一般的ではありません。しかし和粋庵では、この一見相反する二つを組み合わせ、最高品質の正絹で作った作務衣を提供しています。
購入されたお客様からは、自宅にゲストを招くときや、お祝いの席といった特別な機会にドレスアップするための服としてご好評いただいています。シルク特有の贅沢な肌触りと華やかな光沢感は、まるで最高級の着物を着ているかのような感覚です。一段階格上げした特別な一着をお探しの方、シルク生地に目が無い方にはきっとご満足いただける商品です。
特におすすめしたい絹作務衣は「正絹紬作務衣」です。
中綿を入れたキルト生地の作務衣は、和粋庵の商品の中でも随一の保温性を誇ります。主に冬場のリラックスウェアとして着られることが多く、庭仕事や掃除のとき、家の中と外を行き来するような時などにも重宝します。
日本では、暖房で温めづらいお寺や神社で働く方にもご利用いただいています。まるで布団を羽織っているかのような温かさを実現しつつも、動きの妨げにならない程度の厚みで、袖とズボンの裾はゴム製になっています。熱を逃さず、作業のときにもたつくこともありません。寒い季節におうちの中で温かく過ごしたい方には、一度着たら手放せない相棒になるはずです。寒い地域に住む方への贈り物としてもおすすめの一着です。
特におすすめしたい中綿入り作務衣は「T/Cバーバリー織綿入作務衣」です。
和粋庵が国産の生地にこだわる理由は数多くあります。まずお客様に対して、品質が高く着心地の良い、様々な季節・用途に適した作務衣をお届けしたいということ。また日本の伝統的な織物やその製造技術を、後世に残していきたいということ。
私達が取引させていただいている生地メーカーの中には、何百年から千年以上もの歴史を持つ老舗の企業もあります。それだけ長年の研究を重ねた生地は、どれも職人の知見や技術が詰まった素晴らしいものばかりです。その生地の良さを最大限生かすためにも、当社は自社工場で研究や試作を重ねながら一つひとつの作務衣を形にし、適性な価格で販売することを信条としています。
和粋庵はこれからも、日本の伝統文化とものづくりの技術を凝縮した作務衣を世界中へお届けしてまいります。