わたしの思う作務衣の魅力の話


元々は、禅宗の修行僧が労働作業(作務)を行う時の衣服だった「作務衣」。現在では、作業着や室内着としては勿論のこと、仕事着や、旅館・ホテルの館内着としても活用されています。

現代の人々にも愛される、作務衣の「良さ」とは、どんなところにあるのでしょう?作務衣と甚平の専門店スタッフが考える、作務衣の魅力のはなしです。

1:気負わずに着られること。

作業着であった作務衣は、気負って着る必要がありません。

もちろん生地により特別な手入れが必要なもの、着用に気を遣うものもあります。正絹生地の作務衣をはじめ、背筋がピンと伸びるような、特別な日のための装いもご用意しておりますが、和粋庵の作務衣の多くは綿100%です。お手入れしやすく、着るほどに馴染みます。

たくさん使って、きちんと手入れをして、またたくさん使う。好きなものは生活の中の“一部”になり、自然と手に取る回数も増えます。作務衣は、普段着はもちろん、くつろぎ着にも、お出かけ着にもなります。七変化ではないけれど、様々な場面で印象を変えることが出来る装い、実は少ないです。

2:日々に寄り添う衣服であること。

四つ紐を結んで着る作務衣は、締め付けがほとんどありません。身体のラインが気になるということもありません。

きちんと見せたい日は、しっかり紐を締め、羽織をさらりと羽織ってください。たくさん食べてしまった日は、こっそり中紐をゆるく結んでください。今日は気ままに過ごそうと思ったら、そのまま横になって気持ち良く微睡んでください。

よそいきも大事、日常に寄り添うことも大事。(※食べ過ぎはよくないです)欲張りもわがままでもすんなり受け入れてくれるそんなところが、もしかしたら、一番の魅力なのかもしれません。

3:紐を“結び”、着る服であること。

普段、着ている衣服で紐を結ぶことは、少ないです。ボタンやジッパー、チャックが主流になっていますね。なので、作務衣の四つ紐を結ぶと、ぐっと気持ちが引き締まります。

“結び”は、元々お祝いときに用いる水引きもそうですが、縁起がいいことです。頭をスッキリさせたいとき、気分を変えたいとき、人と会う前などに、自然と結び直す癖がつきました。しっかり、仕事モードへの切り替えになっています。

4:スタンダードであること。

「流行り廃り」という言葉。作務衣には、あまり関係がありません。シンプルで、着やすく動きやすく、さらりと恰好よく決まる。それは“基本形”がしっかりとあり、ブレがないからです。

もちろん、利便性という点で、扱い易い生地やデザイン性のあるものもあります。時代に合わせ変化を必要とする部分、変化せず伸ばしていくべき部分を明確にすること。愛される理由があるからこそ、“スタンダード”はいつの時代も色あせることなく、人々を魅了し続けます。

基本の形はシンプルだからこそ、“こだわり”を追及出来るのではないか。はたまた“冒険”が出来るのではないか。そんなことを考え、改めて作務衣の奥深さと面白さを感じずにはいられません。


いかがでしたでしょうか。作務衣の良さについて、すこしでも共感いただけたら嬉しいです。逆に、「こんな良いところもあるよ!」というお声がありましたら、ぜひお聞かせください。

どんなところを“良い”と感じるか。それぞれ違うからこそ、面白い。たくさんある装いのなかで、“作務衣、すごく自分にしっくりくる”そのお言葉や想いに寄り添える商品を、和粋庵はこれからも作り続けて参ります。

それでは今回はこのあたりで。どうぞ、よしなに。