藍染の作務衣、洗うとどうなる? VOL.1

和粋庵の草木染作務衣のなかでもとりわけ人気のある「本藍染作務衣」。その自然で深みのある藍色は、世界でも「ジャパン・ブルー」と呼ばれるほどなのですが、今回はこちらを実際に洗うとどうなるのかをお伝えしたいと思います。

ではまず簡単に、本藍染作務衣を簡単にご紹介をさせていただきます。

本藍染作務衣は、古くから綿織物の産地として知られる「遠州」(現在の静岡県西部)で染め上げた生地から仕立てております。糸から染める「先染め」の技法により、自然な濃い藍色の生地に仕上げました。程よい厚みで、長い期間着ることが出来るのも嬉しいポイントのひとつと言えます。

移り変わる藍染の色彩を、心ゆくまで堪能できる作務衣です(下の画像をクリックすると、商品ページに移ります)。

本藍染作務衣

草木染製品はお洗濯の度に色が落ちていくので、手洗いをしていただく必要がございます。そのためお手入れの手間はかかりますが、徐々に変わっていく風合いに思い入れを抱ける、特別な逸品といえます。

~  お洗濯前に「洗濯表示」を確認します  ~

それでは実際にお洗濯のレポートに入ります。

お洗濯をはじめる前に、製品についている「洗濯表示」を確認します。この洗濯表示は世界共通のマークとなっていて、衣類を長く愛用いただくために必要なお手入れの注意点が明記されています。当店の作務衣には上着・ズボンともにこの洗濯表示が縫いつけられていますので、そちらを確認してみます。

「L」というサイズ表記と「藍染」であることを示す文章、「綿100%」という生地の品質を示す表示に続いて6個の図がございます。こちらを左上から時計回りに見てみます。その結果、以下を守って洗濯しなければならないことがわかりました。

・液温は40℃を限度とし手洗いができる

・塩素系及び酸素系漂白剤の使用禁止

・タンブル乾燥禁止

・ドライクリーニング禁止

・底面温度150℃を限度としてアイロン仕上げができる

・日陰のつり干しがよい

こちらの洗濯表示には裏面にも記載がありまして、そちらにはお取り扱いの注意点が書かれています。

【参考】洗濯表示については、こちらの記事でもご説明しています。

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~  実際に洗濯してみます  ~

洗濯表示を確認し、注意すべきことがわかったので実際に洗濯していきます。道具はこちらを用意しました。

・洗濯桶
(他の衣類と洗濯槽への移染を防ぐために使用します。)

・中性洗剤
(繊維に優しいので、型崩れがしにくいというメリットがあります。)

・ゴム手袋
(藍の色素が皮膚に付着することを想定して用意しました。)

それでは洗濯をはじめます。各工程を写真とともにご説明していきます。

【①押し洗い】

洗濯桶にぬるま湯(洗面所の水道から出るお湯を使用)と中性洗剤を入れ、

②ズボン、上着ともに20回程度押し洗いをします。押し洗いとは、文字通り衣類を「押して洗う」方法です。手で上から押す、離す(場合によっては軽く持ち上げる)といった作業を繰り返します。

ゴム手袋を用意しましたが、素手で洗うとどうなるのか試したかったので今回は使用しませんでした。透明だったぬるま湯が次第に色づいていきます。

洗い終わった後、作務衣を取り出してみました。水の色はかなり青くなりました。

その水を透明なコップにも入れてみました。なかなか綺麗な色です。

【②すすぎ~脱水】

続いて、すすぎに入ります。洗いと同様にぬるま湯で押し洗いをしながらすすぎ、手で絞り脱水をしました。この工程でも桶の水は青くなり、桶に色移りが見られました。

ちなみに手はこのような色になりました。

指と爪が若干青く染まりました(その後石鹸でよく洗ったら落ちました)。

【③陰干し】

充分に脱水ができたら、シワを手でよく伸ばし、

風通しの良い場所で陰干しをします。

陰干しは「直射日光を避け、日陰で洗濯物を干すこと」です。屋内・屋外問わず、直射日光に当たらない日陰で干していれば「陰干し」と言えます。

また写真のような「竿干し」は、型崩れもなくシワも伸びる理想的な干し方と言えます。

陰干しの反対は「日干し」、「直射日光に当てて乾かすこと」です。衣類に日光を当てると、細菌の繁殖を抑えてくれる効果がありますが、紫外線の影響で色褪せや変色の原因になるのでお気をつけください。

【洗濯後の参考情報】

ここまでで1回目の洗濯が終わりました。今回は白い衣類と一緒に洗うとどの程度色移りするのか、についても知りたかったので、本藍染そして白い綿100%の生地も一緒に洗ってみました。ちなみにこの生地は「ななこ織作務衣」で使われているものになります。

タテ、ヨコを引きそろえて織った丈夫な生地は、魚の卵の形に似ているところから「魚子織(ななこおり)」と呼ばれています。

上の2枚が洗濯前、下の2枚が洗濯後の生地となります。本藍染のほうはあまり変化が見られませんが、白い生地は若干青みがかりました。

というわけで、今回は本藍染作務衣を洗うとどうなるのか、ということをご紹介いたしました。こちらの作務衣は繰り返し洗濯していくことで表情が変わっていくものとなっておりますので、引き続き洗濯実験を行い、次回のvol2では新品とどれだけ色が変わっていくのか、またどの程度縮むのか等、経過報告ができたらと思っています。

少しでも参考になれば幸いです。最後まで読んでいただきましてありがとうございました。

続編はこちらです

藍染の作務衣、洗うとどうなる? VOL.2 (4回洗濯後のレポート)

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