贈り物と刺繍のこと【其の三】


こんにちは。たい焼きは2つに割ってお腹から食べる派のコイケです。

前回の記事に続き、最後の記事となる今回は、『簡単名入れ刺繍』以外でご注文頂く刺繍について、作業風景を交えながらご紹介したいと思います。

作務衣や甚平に入れる刺繍のご注文で、名入れに次いで多くいただくのは、『 家紋 』の刺繍です。お入れする場所は、背中上部や左胸が多いですね。

それと同じくらいの頻度で頂くのは、『 ロゴ 』の刺繍のご注文です。贈り物でご使用となると、家紋よりこちらの方が多いかもしれません。

会社のロゴ、団体のロゴ、お客様がご自身で製作されたオリジナルのロゴまで、幅広くご注文を頂きます。ご注文の内容によっては、刺繍を専門に行っている職人さんに加工をご依頼することもあります。
それ以外の場合は当店にて、ご注文ごとに専用ソフトで刺繍データを作り、第一回の記事で登場した刺繍機械で加工を行っているのですが…。

複雑な刺繍となると、そのデータづくりも込み入ったものになってきます。

例えば、小さな文字の刺繍。『簡単名入れ刺繍』は一文字あたり約2cmの刺繍ですが、よりメッセージ性のある刺繍をお入れしたい、という方に関しては、その限りではありません。
平たく言えば、一文字あたり1cmを切る大きさの文字の刺繍を入れることになります。

いくら精密機械といっても、針と糸で模様を描いていくことには変わりありません。その精度の都合上、データの上では上手くいっても、実際に機械を動かしてみたら想像とは違った仕上がりになった…などということも珍しくなく…。

しかしながら、それをどうにかするのが刺繍担当の腕の見せ所です。なるべくお客様のご希望を叶えられるよう、時には大きさの調整の提案も行いながら、作業を進めます。

仕上がった刺繍は、後ろの糸の処理と、刺繍の際に用いる枠の痕を特殊な液で消して仕上げていきます。

ロゴや家紋をお入れする場合、データのやり取りや完成イメージ等を、お客様に確認しながら製作を進めていくため、その過程でどんな使用用途をお考えなのか、お聞かせいただけることも多々あります。

友人の誕生日プレゼントにしたい。

小学校の同窓会で恩師に贈りたい。

大学でお世話になった教授の退任式で渡したい。

今まで様々なお客様がいらっしゃいましたが、そのどれもが「こだわり」…相手の方を想う気持ちに溢れていて、思わず頬がほころぶ気持ちにさせてもらっています。

それは何だか、お客様からいただいているギフトのようで。ご依頼をいただいているのはこちらの方なのに、逆にプレゼントをもらっているような心地がして。私もその分、頑張らねば!と気合を入れられて。

そうして作られた品がお客様の元に届き、その出来栄えにご満足いただければ、贈った方も嬉しく、贈られた方も嬉しく。ついでに製作側も嬉しく。

それはとても幸せに溢れた、何だかとても素敵な循環だなと、しみじみ思います。

『贈り物と刺繍のこと』、全3回に渡って連載してきましたが、いかがだったでしょうか。
服に模様を入れる場合、プリント等様々な技法がありますが、私は刺繍が好きです。その質感は勿論ですが、図柄のひとつひとつが繊細な糸で作られていると思うと、わくわくとした、何だか楽しい気持ちになれます。

作務衣や甚平を贈り物に、勿論自分用にとお考えになった時にも。
「もう一工夫加えたい…」
そんなご希望、こだわりにぴったりの、刺繍加工についてのご紹介でした。少しでもご参考頂ければ幸いです。

それでは、今回はこの辺りで。どうぞ、よしなに。

第1回の記事はコチラ、第2回の記事はコチラからどうぞ。


併せて読みたいコンテンツ